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メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。【2025年最新】
WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。
皆様の中には、
- そもそもWARって何?
- ダルビッシュのWARを知りたい!
- ダルビッシュって正直どれくらい活躍してるの?
という疑問を抱えている方はいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、WARの定義やfWARとrWARの違い、メリットと限界を整理したうえで、ダルビッシュ有のシーズン別・通算成績を具体的に解説します。
この記事で紹介するセイバーメトリクスがMLBの「常識」になったのかを歴史と実例で語れる人は多くありません。私が入門書として読んだのが、実話をもとに書かれた「マネーボール」です。「マネーボール」はAudibleで音声でも聴けるのでぜひ次の画像をタップしてみてください。
セイバーメトリクスの概要

セイバーメトリクスは、野球の成績を統計学的に分析し、選手の真の価値を数値で可視化する手法です。従来の常識を覆し、OPSなど新たな評価指標を生み出しました。
- セイバーメトリクスと歴史
- セイバーメトリクスの指標
- セイバーメトリクスを普及させた実話「マネーボール」
セイバーメトリクスと歴史
セイバーメトリクスは、1970年代にアメリカの野球史研究家ビル・ジェームズによって提唱されました。名称は「Society for American Baseball Research(SABR)」と「metrics(測定)」を組み合わせた造語です。
当時は、打率や打点が選手の価値を決める主な指標でしたが、ジェームズは「出塁することこそが得点につながる」と主張し、出塁率や長打率を重視する分析を導入しました。1977年に発表した「Baseball Abstract」シリーズは、従来の野球観に一石を投じました。
ジェームズの研究は、バントや盗塁が必ずしも得点に結びつかないことを統計的に示し、戦術の再考を促しました。例えば、あるチームが送りバントを20回試みた場合、得点効率は約10%低下するといったデータが発表されています。
ジェームズの考え方は当初こそ批判を受けましたが、後に多くの球団が彼の分析を参考にし、現代野球の根幹を成す理論となりました。数字によって感覚や経験に頼らない戦略を生み出した点で、セイバーメトリクスは野球を「データのスポーツ」へと進化させたと言えるでしょう。
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セイバーメトリクスの指標
セイバーメトリクスでは、選手の貢献度をより正確に表すために多くの得点との相関がある指標が考案されています。
相関を表す相関係数とは、2つの数値データの関係の強さと方向を表す指標です。相関係数は-1.00から+1.00の範囲で示され、+1.00に近いほど強い正の関係を意味します。
セイバーメトリクスで代表的なものがOPS(出塁率+長打率)です。OPSは得点との相関が非常に高く、NPBでは2008〜2017年の10年間で相関係数0.92という高い一致率を示しています。
出塁率(OBP)は「(安打+四球+死球) ÷ (打数+四球+死球+犠飛)」で計算され、長打率(SLG)は「塁打数 ÷ 打数」で求められます。出塁率(OBP)と長打率(SLG)を足したOPSは、計算が単純でありながらも選手の得点能力を評価できる重要な指標です。
また、OPSをリーグ平均100として指数化したOPS+は、異なる時代や球場間でも比較できる便利な数値です。OPS+が150なら、平均的な打者よりも50%高い得点力を持つことを意味します。
その他にも、出塁率を重視したwOBA(加重出塁率)や、打撃・守備・走塁を統合的に評価するWAR(Wins Above Replacement)などが存在します。
セイバーメトリクスの指標によって、従来評価されにくかった「出塁率などの地味な貢献」も数値化され、例えば打率は低いけれど出塁率が高いカイル・シュワーバーなどの選手が正当に評価され出しています。
ここまでWARやセイバーメトリクスを解説してきましたが、
「結局、セイバーメトリクスってどう広まったの?」
と聞かれてスパッと答えられる人は少ないと思います。
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セイバーメトリクスを普及させた実話「マネーボール」
上の動画は実話をもとに公開された映画「マネーボール」の魅力が詰まっている予告編です。
セイバーメトリクスが広く知られるようになったきっかけが、2000年代初頭のオークランド・アスレチックスによる「マネーボール革命」です。
年俸総額が30球団中28位と資金力の乏しいアスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンは、年俸の高いスター選手を獲得できない状況下で、セイバーメトリクスを用いた戦略に活路を見出しました。
ビリー・ビーンは出塁率やOPSやWARなどセイバーメトリクスの指標が良いにもかかわらず、見た目や評価の低さから市場価値が安い選手を集め、チームを再建。
2002年シーズンには、当時アメリカンリーグ新記録の20連勝を達成し、さらにシーズン103勝を挙げて地区優勝に導きました。
この実話をもとに2011年に公開された映画「マネーボール」は、ブラッド・ピット主演で大ヒットを記録し、セイバーメトリクスの有効性を世に知らしめました。
劇中では「選手を顔やフォームではなく数字で見ろ」というセリフが印象的に語られています。アスレチックスの成功は、その後のMLB各球団の編成方針を変え、データ分析専門部署の設立を促しました。
現在では、セイバーメトリクスの考え方がスカウティングや契約交渉にも浸透しており、野球界に与えた「マネーボール」の影響は凄まじいものがあります。
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WARとは何か?何を評価する指標か

WARは選手の総合的な貢献度を示す重要な評価指標です。ここでは以下の順に解説します。
- WAR(Wins Above Replacement)の定義と計算
- fWARとrWARの違い
- WARのメリット
WAR(Wins Above Replacement)の定義
WARとは「Wins Above Replacement」の略称です。代替選手、つまり控えレベルの選手と比べてどれだけ勝利数を増やしたかを示します。
打撃、走塁、守備、投球などすべての要素を数値化し、統合して算出します。一般的に代替レベルのチームは勝率が約.320とされ、162試合で52勝程度しかできません。
基準と比較し、WARは選手がどれだけ勝利に貢献したかを数値化。打率や本塁打のように一側面だけではなく、総合的に選手の価値を評価できる点が特徴です。
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fWARとrWARの違い
WARには主にfWARとrWARの二種類があります。
fWARは野手の守備をUZRで評価し、投手はFIPをベースに算出する方法です。fWARは守備の影響を取り除けるため、理論的に投手の純粋な力を測れる指標です。
一方、rWARはBaseball Referenceで用いられる算出方法です。守備はDRSを使用し、投手は実際の失点ベースで評価する点が異なります。rWARは実際の試合結果に基づいた評価で、現実に近い数字を出すと言えます。
ここまでWARやセイバーメトリクスを見てきましたが、実はWARの起源は古く、20年以上前にあります。
2002年、MLBアスレチックスは年俸総額30球団中28位という“貧乏球団”でした。ところがセイバーメトリクスを導入した結果、103勝・リーグ記録の20連勝を達成します。
この実話を描いたブラッド・ピット主演映画『マネーボール』は、データが野球を変えたことがわかる名作です。
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WARのメリット
WARの最大のメリットは1つの数値で総合的な価値を比較できる点です。野手と投手を同じ基準で評価できるため、MVP投票や殿堂入り議論で活用されます。
また、WARは契約交渉や年俸評価でも重要な基準とされています。近年では「1WARは数百万ドルの価値」とも言われています。
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WARへの批判的な見方
WARは総合的な評価指標として広く利用されていますが、決して万能ではありません。fWARやrWARの算出方法には違いがあり、同じ選手でも数値が異なることから「どちらを信じるべきか」と疑問を持つ声も多い事実があります。ここでは以下の順でWARへの批判や限界を整理します。
- WARの限界
- 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARの限界
WARは便利な指標ですが、限界も明確で、まずfWARとrWARで守備評価の基準が異なるため、選手の数値が一致しません。
UZRを使うfWARと、DRSを用いるrWARでは同じプレーを評価しても結果が変わります。また、投手の評価方法にも違いがあり、FIPを採用するfWARと実際の失点を考慮するrWARでは数値に差が出ます。
さらに、WARは環境要因やチーム状況を完全に反映できません。球場の広さや守備陣のレベルが選手の数値に影響するため、単純に比較することには限界があると言えるでしょう。
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「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARは積算型の指標なので、出場機会が多いほど数値が増えやすい特徴があります。そのため「レギュラーで出続ける選手はWARが高くなるが、本当に実力差を反映しているのか」という批判もあります。
例えば、シーズンを通して安定して出場する選手は、突出した打撃成績がなくてもWARを積み上げることが可能です。そのため「見かけ倒し」と捉えられることがあります。
さらに、短期間で圧倒的な成績を残す選手よりも、平均的な活躍を続けた選手が高く評価されるケースもあります。
こうした点から、WARは選手評価の一助にはなるものの、万能な指標ではなく、OPSや防御率など他のデータと併用してこそ、正確な選手の評価につながると言えるでしょう。
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ダルビッシュの年度別・通算WARを紹介

それではダルビッシュの年度別・通算WARなど成績を以下の順で解説します。
- ダルビッシュのシーズン別のfWARとrWAR
- 防御率・WHIP・奪三振率など通算成績
ちなみに今なら2025年レギュラーシーズンでダルビッシュが登板した全試合までも見逃し配信で7日間無料で視聴可能です。怪我の影響で2026年シーズンは登板できないダルビッシュ。その最新の投球を、ぜひ次の画像をタップして仕事帰りや休日に観戦してみてください。
ダルビッシュのシーズン別のfWARとrWAR
ダルビッシュのシーズン別のfWARとrWARは以下の通りです。
| 年度 | fWAR | rWAR | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2012 (TEX) | 4.0 | 3.5 | MLBデビュー 16勝を挙げ新人王3位 |
| 2013 (TEX) | 5.6 | 5.6 | 277奪三振 サイ・ヤング賞2位 |
| 2014 (TEX) | 3.8 | 3.5 | 途中離脱も高水準の成績 |
| 2015 (TEX) | – | – | トミー・ジョン手術で全休 |
| 2016 (TEX) | 3.0 | 2.5 | 復帰シーズン 奪三振率は健在 |
| 2017 (TEX/LAD) | 3.5 | 4.1 | WSでの炎上が記憶される年 |
| 2018 (CHC) | 0.1 | -0.1 | 序盤離脱 低迷 |
| 2019 (CHC) | 4.5 | 3.0 | 後半戦に圧巻の制球力を見せ復活 |
| 2020 (CHC) | 3.0 | 2.8 | 短縮シーズン サイ・ヤング賞2位 |
| 2021 (SDP) | 3.4 | 1.4 | 前半好調 後半に失速 |
| 2022 (SDP) | 3.9 | 4.6 | 16勝を挙げパドレスを牽引 |
| 2023 (SDP) | 2.2 | 0.9 | 安定感を欠きWAR低下 |
| 2024 (SDP) | 2.0 | 1.9 | ERA 3.31 復調気配 |
| 2025 (SDP) | 0.4 | 0.0 | 苦戦中 |
| 通算WAR | 39.3 | 33.2 | スター選手 |
以下にダルビッシュのWARをグラフ化したものを示します。

ダルビッシュ投手のキャリアを振り返ると、fWARとrWARの評価には常に差が見られます。
FanGraphsのfWARはFIPを基準にし、守備の影響を排除して三振・四球・被本塁打を重視します。一方、rWARは実際の失点や守備力を考慮するため、防御率との連動が強い傾向があります。
例えば、2019年は後半戦に驚異的な制球力を見せ、FIPに基づくfWARでは4.5と高値を記録しましたが、rWARでは3.0にとどまりました。
通算では両者とも30.0以上のWARを積み重ねており、スター選手として申し分のない成績を残しています。
近年は2021年から2023年にかけて、防御率がやや悪化したことでrWARが低迷しましたが、奪三振や制球を重視するfWARでは依然として平均以上を記録しています。
グラフから見ると、年度別で波のある選手と言えますが、通算成績として十分過ぎるほど活躍していると言えるでしょう。
ここまでWARやセイバーメトリクスを解説してきましたが、
「ダルビッシュは何が具体的に凄いの?」
「結局、WARってどう広まったの?」
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防御率・WHIP・奪三振率など通算成績
ダルビッシュの防御率・WHIP・奪三振率など通算成績は以下の表に示しました。
| 指標 | 成績 | |
|---|---|---|
| 通算投球回 | 1,778.0回 | 13年間のMLB登板で積み上げた実働回数 |
| 通算勝敗 | 115勝93敗 | 勝率 .553 野茂英雄の123勝まであと8勝 朴賛浩のアジア人記録まであと9勝 |
| ERA(防御率) | 3.65 | 通算平均失点率 安定してリーグ上位水準 |
| FIP | 3.59 | 投球内容ベースの指標 ERAと近く安定感あり |
| WHIP | 1.14 | 被安打+与四球を投球回で割った値 出塁許容率は優秀 |
| H/9 | 7.63 | 9回あたりの被安打数 被打率.221前後で抑制傾向 |
| HR/9 | 1.27 | 被本塁打率は高い |
| BB/9 | 2.86 | 制球力の指標 通算でも安定した数値 |
| SO/9(奪三振率) | 10.5 | 奪三振能力は通算で極めてハイレベル |
| K/BB比 | 3.67 | 奪三振/与四球の比率 優秀な制球 |
| ERA+ | 116 | 平均より16%優秀 球場補正込みの高水準 |
| 通算奪三振 | 2,075 | 日本人投手ではMLB歴代最多を更新中 |
ダルビッシュ投手の通算成績を見てみると、奪三振能力の高さが際立っています。
SO/9が10.5という数値は、メジャー通算2000奪三振を超える投手の中でもトップクラス。被安打率も低く、WHIPは1.14と優秀で、出塁を許さない安定した投球が魅力と言えます。
ERA+が116という数値は、リーグ平均より16%優れた投手であることを意味しており、キャリアを平均以上の投手であることを意味します。
もちろん2018年や2023年のように不調や故障で低迷したシーズンもありますが、それを差し引いても、通算で30を超えるWARと2000奪三振を記録したことは驚異的。
また、キャリア序盤は速球とスライダーで押すスタイルでしたが、晩年はシンカーやスプリットを織り交ぜ、制球力を武器とする技巧派へと変貌しました。
防御率やWHIPといった指標の安定感に加えて、K/BB比3.67という制球面での改善も評価すべきポイントです。
ダルビッシュがサイ・ヤング賞投票で2位を2度獲得するほど、今や人種の壁はないメジャーリーグ。しかし、80年前、その礎を築いたのがドジャースのジャッキー・ロビンソンでした。
人種差別が当たり前だった時代に、ただプレーで黙らせた黒人初のメジャーリーガー。実話をもとに制作された映画『42~世界を変えた男~』はU-NEXTの31日間無料トライアルでスマホ・タブレット・パソコンから今すぐ視聴できるので、次の画像をぜひタップしてみてください。
ダルビッシュをリアルタイムで応援しよう【まとめ】
ダルビッシュ有投手は、通算WAR30超・2000奪三振を誇る歴代屈指の日本人メジャーリーガーです。
シーズン別に見るとfWARとrWARで評価に差はありますが、どちらも良い記録を残しています。
防御率3.63、WHIP1.14、SO/9は10.5と奪三振力も抜群。さらに、ERA+116は平均以上の投手を意味します。
速球主体の剛腕から技巧派へと変貌し、現在もローテーションの一角として投げ続けるダルビッシュに今後も注目していきましょう。
ダルビッシュがサイ・ヤング賞投票で2位を2度獲得するほど、今や人種の壁はないメジャーリーグ。しかし、80年前、その礎を築いたのがドジャースのジャッキー・ロビンソンだった。
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