メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。
WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。
皆様の中には、
- そもそもWARって何?
- 大谷翔平のWARを知りたい!
- 大谷翔平って歴代でどれくらい凄い成績を残したの?
という疑問を抱えている方はいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、WARの定義や当サイトのbsWARについて、メリットと限界を整理したうえで、大谷翔平のシーズン別・通算成績を具体的に解説します。
本記事では2026年シーズン途中までの最新データをもとに解説しており、大谷翔平の通算bsWARは62.6(打撃46.1・投手16.4)まで積み上げられています。2024年のトミージョン手術からも完全復活を遂げ、2025年はワールドシリーズ連覇と4年連続MVPを獲得、2026年も開幕から投打二刀流で圧倒的なパフォーマンスを披露しています。
WARとは何か?何を評価する指標か

WARは選手の総合的な貢献度を示す重要な評価指標です。ここでは以下の順に解説します。
- セイバーメトリクスとWARの関係性
- WAR(Wins Above Replacement)の定義と計算
- 当サイトのbsWARについて
- WARのメリット
セイバーメトリクスとWARの関係性
WARを正しく理解するには、まず「セイバーメトリクス」という言葉を知っておく必要があります。
セイバーメトリクスとは、野球を「勘や経験」ではなく「客観的なデータ(統計学)」で分析する手法のことです。
セイバーメトリクスによって「OPS」など様々な指標が生まれましたが、その中で「野手や投手を問わずに、選手の総合力をたった1つの数字で表そう」として作られた指標こそが、これから解説するWARです。
WAR(Wins Above Replacement)の定義
WARとは「Wins Above Replacement」の略称です。代替選手、つまり控えレベルの選手と比べてどれだけ勝利数を増やしたかを示します。
打撃、走塁、守備、投球などすべての要素を数値化し、統合して算出します。一般的に代替レベルのチームは勝率が約.320とされ、162試合で52勝程度しかできません。
基準と比較して、WARはその選手がどれだけ勝利に貢献したかを数値化します。そして打率や本塁打のように一側面だけではなく、総合的に選手の価値を評価できる点が特徴です。
当サイトのbsWARについて
WARには「これが公式」という単一の計算式がなく、算出元によって定義が異なります。当サイトでは、他サイトの数値を転載するのではなく、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて独自に算出した bsWAR を掲載しています。守備の材料にはMLB公式のOAAを用いています。計算式と検算の結果は算出方法の記事にまとめています。
WARのメリット
WARの最大のメリットは1つの数値で総合的な価値を比較できる点です。野手と投手を同じ基準で評価できるため、MVP投票や殿堂入り議論で活用されます。
また、WARは契約交渉や年俸評価でも重要な基準とされています。近年では「1WARは数百万ドルの価値」とも言われています。
大谷翔平のWARのシーズン別・通算

大谷翔平は二刀流であるため、投手と野手のどちらでもWARを評価できます。以下の順で、投打を合計したWARも紹介します。
- 大谷翔平の年度別bsWAR
- 大谷翔平の通算成績
大谷翔平の年度別bsWAR
WARでは、投打の貢献を別々に算出するため、大谷翔平の価値が明確にわかります。
特に打者としてはwOBAとwRAAをもとに評価され、2024年はwOBA.434・wRAA89.9で打撃bsWAR10.2とキャリアハイを記録しました。
投手としても高い奪三振率と安定した防御率により、2021年以降は毎年プラスの投手bsWARを記録しています。シーズンごとのbsWARは投手・打者・合計で次の表の通りです。
| 年度 | 年齢 | チーム | 打席 | wOBA | wRAA | 打撃bsWAR | 本塁打 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 24 | LAA | 367 | .395 | 28.4 | 3.2 | 22 | .285 |
| 2019 | 25 | LAA | 425 | .356 | 14.7 | 1.7 | 18 | .287 |
| 2020 | 26 | LAA | 175 | .292 | -5.3 | -0.4 | 7 | .190 |
| 2021 | 27 | LAA | 639 | .399 | 52.9 | 5.6 | 46 | .257 |
| 2022 | 28 | LAA | 666 | .372 | 40.4 | 4.7 | 34 | .273 |
| 2023 | 29 | LAA | 599 | .439 | 71.7 | 7.8 | 44 | .304 |
| 2024 | 30 | LAD | 731 | .434 | 89.9 | 10.2 | 54 | .310 |
| 2025 | 31 | LAD | 727 | .422 | 78.2 | 8.4 | 55 | .282 |
| 2026今季 | — | LAD | 618 | .380 | 37.7 | 4.5 | 30 | .275 |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年10月19日 5:18
2026年の大谷翔平は 618打席で wOBA .380。リーグ平均 .319 を .061 ポイント上回っている。打撃だけで見ると、リーグ平均の打者が同じ打席数に立った場合と比べて 37.7点多く生み出した計算になる(wRAA 37.7)。wOBAのキャリアハイは2023年の .439(599打席)で、今季との差は .059 ポイント。2024年から2026年にかけて wOBA は3年連続で低下している。通算本塁打 310本、400本まであと 90本。通算安打 1,194本、1,500本まであと 306本。
この評価は当サイトが取得した計数値から自動生成しています。最終更新:2026-10-19 05:18:06
| 年度 | 年齢 | チーム | 登板 | 投球回 | FIP | 投手bsWAR | 防御率 | 奪三振 | 与四球 | 被本塁打 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 24 | LAA | 10 | 51.2 | 3.56 | 1.0 | 3.31 | 63 | 22 | 6 |
| 2020 | 26 | LAA | 2 | 1.2 | 13.98 | -0.1 | 37.80 | 3 | 8 | 0 |
| 2021 | 27 | LAA | 23 | 130.1 | 3.51 | 3.0 | 3.18 | 156 | 44 | 15 |
| 2022 | 28 | LAA | 28 | 166.0 | 2.40 | 5.7 | 2.33 | 219 | 44 | 14 |
| 2023 | 29 | LAA | 23 | 132.0 | 3.99 | 2.2 | 3.14 | 167 | 55 | 18 |
| 2025 | 31 | LAD | 14 | 47.0 | 1.89 | 2.0 | 2.87 | 62 | 9 | 3 |
| 2026今季 | — | LAD | 14 | 85.2 | 2.60 | 2.8 | 1.79 | 95 | 26 | 4 |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年10月19日 5:18
2026年の大谷翔平は 85.2回を投げて FIP 2.60、防御率 1.79。防御率が FIP を 0.82 下回っており、被本塁打・四死球・奪三振から想定される水準よりも失点が少ない。リーグ平均の防御率 4.17 に対し、FIP は 1.57 良い。9回あたり奪三振 10.0、与四球 2.7。FIPのキャリアベストは2022年の 2.40。
この評価は当サイトが取得した計数値から自動生成しています。最終更新:2026-10-19 05:18:06
| 年度 | 投球回 | 打席 | 投手bsWAR | 打撃bsWAR | bsWAR 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 51.2 | 367 | 1.0 | 3.2 | 4.2 |
| 2019 | — | 425 | — | 1.7 | 1.7 |
| 2020 | 1.2 | 175 | -0.1 | -0.4 | -0.5 |
| 2021 | 130.1 | 639 | 3.0 | 5.6 | 8.5 |
| 2022 | 166.0 | 666 | 5.7 | 4.7 | 10.3 |
| 2023 | 132.0 | 599 | 2.2 | 7.8 | 10.0 |
| 2024 | — | 731 | — | 10.2 | 10.2 |
| 2025 | 47.0 | 727 | 2.0 | 8.4 | 10.3 |
| 2026今季 | 85.2 | 618 | 2.8 | 4.5 | 7.3 |
| 通算 | — | — | 16.5 | 45.6 | 62.0 |
bsWAR は当サイトが独自に算出する WAR です。打撃bsWARと投手bsWARを足した値で、打撃側は 2016 年以降が守備・走塁込み、投手側は全年度算出しています。 通算は算出できた年の合計なので、算出できない年がある場合はその分だけ小さくなります。 最終更新:2026年10月19日 5:18
大谷翔平のbsWAR推移を見ると、2018年以降はケガや不調の年もあるものの、2021年から2025年は合計bsWARで毎年8.5以上を積み上げ、投打両面で安定した数字を維持しています。
特に2022年は合計10.4、2023年は10.1と投手・打者の双方でハイレベルな成績を残し、二刀流として歴史的な存在感を示しています。
2024年はトミージョン手術の影響で投手は全休でしたが、打者として史上初の50本塁打50盗塁を記録(最終成績は54本塁打59盗塁)しました。盗塁死はわずかに4です。打撃bsWAR10.2は打者としてのキャリアハイにあたります。
2025年は投打揃ってフル稼働し、打撃8.4・投手2.0の合計10.4をマーク。ワールドシリーズ連覇に貢献し、4年連続となるMVPを獲得しました。2026年も開幕から二刀流として稼働しており、投手として14登板・85.2回で防御率1.79、打者としても30本塁打・打率.279(2026年はシーズン途中)と好調を維持しています。
大谷翔平の通算成績
大谷翔平の通算成績は以下の表の通りです。
| 項目 | 通算 |
|---|---|
| 試合 | 1,172 |
| 打席 | 4,947 |
| 安打 | 1,194 |
| 二塁打 | 218 |
| 本塁打 | 310 |
| 打点 | 750 |
| 四球 | 622 |
| 三振 | 1,256 |
| 盗塁 | 176 |
| 打率 | .281 |
| 出塁率 | .375 |
| 長打率 | .574 |
| OPS | .948 |
| 通算打撃bsWAR | 45.6 |
| キャリアハイ打撃bsWAR | 10.2(2024年) |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年10月19日 5:18
| 項目 | 通算 |
|---|---|
| 登板 | 114 |
| 投球回 | 614.1 |
| 勝利 | 47 |
| 敗戦 | 22 |
| 奪三振 | 765 |
| 与四球 | 208 |
| 被本塁打 | 60 |
| 防御率 | 2.83 |
| WHIP | 1.060 |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年10月19日 5:18
2018年はメジャー1年目ながら投手1.0、打撃3.2の合計4.2を記録し、二刀流の活躍で新人王を獲得しました。
2019年はトミー・ジョン手術の影響で投手登板がなく、打撃のみで1.7にとどまります。
2020年は新型コロナウイルス短縮シーズンであり、故障や不振で合計-0.5とマイナスを記録する厳しいシーズンでしたが、2021年に大復活。投手3.0、打撃5.6と合計8.5を叩き出し、MVPを獲得しました。
2022年は合計10.4でキャリアハイ(2025年も同じ10.4)、2023年も10.1と安定して超一流の成績を残し、二刀流として歴史的な記録を積み重ねています。
2024年はトミージョン手術からの復帰途上で投手は登板せずも、打者として史上初の50本塁打50盗塁(最終54本塁打59盗塁)を達成し、打撃bsWAR10.2を記録。2025年は投手として復帰し投打合計10.4で、ワールドシリーズ連覇の原動力となりました。そして2026年は開幕からフル稼働の二刀流で、投手として85.2回・防御率1.79・95奪三振、打者としても30本塁打・打率.279(シーズン途中)と、合計bsWAR7.6を積み上げています。
通算bsWARは62.6と、殿堂入り基準とされる水準に着実に近づいており、2026年もシーズン途中で7.6を上乗せしています。
WARへの批判的な見方
WARは総合的な評価指標として広く利用されていますが、決して万能ではありません。WARには算出元ごとに複数の流儀があり、同じ選手でも数値が異なることから「どれを信じるべきか」と疑問を持つ声も多い事実があります。ここでは以下の順でWARへの批判や限界を整理します。
- WARの限界
- 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARの限界
WARは便利な指標ですが、限界も明確で、算出元によって守備評価の基準が異なるため、同じ選手でも数値が一致しません。
守備をUZRで測るかDRSで測るか(当サイトのbsWARはMLB公式のOAA)で、同じプレーの評価は変わります。また、投手をFIPで評価するか実際の失点で評価するかでも数値に差が出ます(bsWARはFIPベース)。
さらに、WARは環境要因やチーム状況を完全に反映できません。球場の広さや守備陣のレベルが選手の数値に影響するため、単純に比較することには限界があると言えるでしょう。
「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARは積算型の指標なので、出場機会が多いほど数値が増えやすい特徴があります。そのため「レギュラーで出続ける選手はWARが高くなるが、本当に実力差を反映しているのか」という批判もあります。
例えば、シーズンを通して安定して出場する選手は、突出した打撃成績がなくてもWARを積み上げることが可能です。そのため「見かけ倒し」と捉えられることがあります。
さらに、短期間で圧倒的な成績を残す選手よりも、平均的な活躍を続けた選手が高く評価されるケースもあります。
こうした点から、WARは選手評価の一助にはなるものの、万能な指標ではなく、OPSや防御率など他のデータと併用してこそ、正確な選手の評価につながると言えるでしょう。
大谷翔平をセイバーメトリクスで評価すると歴代屈指【まとめ】
大谷翔平はデビュー以来、故障や不振の時期を挟みながらも、2021年以降は常に合計bsWAR7以上を記録し、二刀流としてMLBで活躍。
通算bsWARは62.6と、すでに殿堂入り水準に迫る数値を積み上げており、歴代のメジャーリーガーと比較しても極めて高い水準にあります。
2026年シーズンも投手として85.2回・防御率1.79、打者でも30本塁打・打率.279と圧倒的な数字を残しており、シーズン途中で合計bsWAR7.6、通算では62.6に到達しています。投打両面で史上類を見ない記録を更新し続ける大谷翔平の歩みは、WARという指標の枠組みそのものを問い直す存在になりつつあります。
なお、当ブログではイチローのWARについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
