メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。
WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。
皆様の中には、
- そもそもWARって何?
- トレイ・ターナーのWAR推移は?
- 11年契約後の成績はどう?
と気になる方も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、トレイ・ターナー(Trea Turner)の年度別・通算WAR、キャリアハイ、フィリーズでの現在地まで、2026年シーズン時点の最新データをもとに徹底解説します。
WARとは何か?何を評価する指標か
WARは打撃・守備・走塁をまとめて評価できる、現代MLBを代表する総合指標です。ここではセイバーメトリクスとの関係から定義・当サイトのbsWARの考え方・使うメリットまでを整理し、数字の読み方の土台をつくります。
- セイバーメトリクスとWARの関係性
- WAR(Wins Above Replacement)の定義
- 当サイトのbsWARについて
- WARのメリット
セイバーメトリクスとWARの関係性
WARを理解するには、まず「セイバーメトリクス」という言葉を知る必要があります。セイバーメトリクスとは、野球を「勘や経験」ではなく「客観的なデータ(統計学)」で分析する手法のこと。1970年代にビル・ジェームズが提唱し、映画『マネーボール』で一躍世界に知られるようになりました。
WAR(Wins Above Replacement)の定義
WARは「もしこの選手を控え選手に入れ替えたら、チームは何勝損をするか」を示す指標です。野手の場合は打撃・守備・走塁の3要素をすべて含めて合算します。
野手WARの目安は以下の通りです。
- WAR 6.0以上:MVP級(リーグ最高クラスの選手)
- WAR 4.0〜5.9:オールスター級(チームの主軸)
- WAR 2.0〜3.9:レギュラー級(毎日試合に出る中心選手)
- WAR 0〜1.9:ベンチ級〜準レギュラー
当サイトのbsWARについて
WARには「これが公式」という単一の計算式がなく、算出元ごとに定義が異なります。当サイトでは、他サイトの数値を転載するのではなく、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて独自に算出した bsWAR を掲載しています。守備の材料にはMLB公式のOAAを用いています。計算式と検算の結果は算出方法の記事にまとめています。
WARのメリット
WARの最大のメリットは「異なるポジション・異なる時代の選手を同じ物差しで比較できる」ことです。時代別ではデッドボール時代のタイ・カッブと現代の大谷翔平、ポジション別では捕手とDHなども一つの指標で比べられます。
トレイ・ターナーの経歴や年度別・通算の成績
ここからはトレイ・ターナーのキャリアを数字で深掘りします。デビューから2026年開幕時点までの年度別WARと通算成績、公式ハイライト映像で実際のプレーも確認しながら、彼の全体像を把握していきましょう。
- トレイ・ターナーの経歴
- トレイ・ターナーの年度別のWAR
- トレイ・ターナーの通算の打撃成績
トレイ・ターナーの経歴
トレイ・ターナー(Trea Turner)は1993年6月30日生まれ、フロリダ州出身の遊撃手。ノースカロライナ州立大学を経て2014年MLBドラフト1巡目(全体13位)でサンディエゴ・パドレスに指名されたのち、ワシントン・ナショナルズへトレードされ2015年にメジャーデビューしました。
2016年には73試合で打率.342・wRC+146の衝撃的なシーズンを送り、一躍スター街道へ。2021年にはナ・リーグ首位打者(打率.328)を獲得し、同年シーズン途中でドジャースにトレードされてWS優勝争いに貢献しました。
2022年オフに11年3億ドル(約450億円)でフィラデルフィア・フィリーズと契約。2023年の移籍初年度は苦戦しましたが、2025年には打撃bsWAR 6.4のキャリアハイを記録。2026年も遊撃手のMVP候補として注目されています。
実際のプレー映像は、以下の公式ハイライトで確認できます。
トレイ・ターナーの年度別のWAR
トレイ・ターナーのMLB年度別WARを当サイト独自算出のbsWARで一覧化します。数値はMLB公式データ(MLB Stats API)から当サイトが計算したもので、毎日自動更新されます。
| 年度 | 年齢 | チーム | 打席 | wOBA | wRAA | 打撃bsWAR | 本塁打 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | 22 | WSH | 44 | .281 | -1.6 | 0.1‡ | 1 | .225 |
| 2016 | 23 | WSH | 324 | .401 | 25.8 | 4.4 | 13 | .342 |
| 2017 | 24 | WSH | 447 | .341 | 7.6 | 2.5 | 11 | .284 |
| 2018 | 25 | WSH | 740 | .335 | 12.2 | 4.8 | 19 | .271 |
| 2019 | 26 | WSH | 569 | .359 | 21.2 | 4.4 | 19 | .298 |
| 2020 | 27 | WSH | 259 | .417 | 24.8 | 3.6 | 12 | .335 |
| 2021 | 28 | WSH | 420 | .383 | 28.0 | 5.2 | 18 | .322 |
| 2021 | 28 | LAD | 226 | .403 | 19.7 | 3.7 | 10 | .338 |
| 2022 | 29 | LAD | 708 | .352 | 28.6 | 6.0 | 21 | .298 |
| 2023 | 30 | PHI | 691 | .336 | 11.0 | 3.9 | 26 | .266 |
| 2024 | 31 | PHI | 539 | .352 | 21.4 | 4.5 | 21 | .295 |
| 2025 | 32 | PHI | 639 | .354 | 24.8 | 6.4 | 15 | .304 |
| 2026今季 | — | PHI | 615 | .297 | -13.3 | 0.4 | 17 | .239 |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。‡ 印の年(2015年以前)は守備データ(OAA)が存在しないため、守備はレンジファクター法(同じ守備位置のリーグ平均と比べたアウト関与数を得点に換算)による概算、走塁は 0 として算出しています。打球の難易度を見ていないぶん OAA より粗く、捕手の守備は 0 です。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年9月7日 5:16
2026年のトレイ・ターナーは 615打席で wOBA .297。リーグ平均 .318 を .022 ポイント下回っている。打撃だけで見ると、リーグ平均の打者が同じ打席数に立った場合と比べて 13.3点少なく生み出した計算になる(wRAA -13.3)。wOBAのキャリアハイは2020年の .417(259打席)で、今季との差は .120 ポイント。通算本塁打 203本、300本まであと 97本。通算安打 1,667本、2,000本まであと 333本。
この評価は当サイトが取得した計数値から自動生成しています。最終更新:2026-09-07 05:16:51
全盛期のひとつは2021年(28歳)。WSN→LADトレード年ながら、打率.328・28HR・32盗塁という30本塁打-30盗塁に近い圧倒的なオールラウンド数字を残し、打撃bsWARもナショナルズで5.2、ドジャースで3.7を積み上げました。
フィリーズ移籍後は2023年に一度ダウンしましたが、2025年に打撃bsWAR 6.4で完全復活。本塁打15ながら打率.304・36盗塁と、ターナーらしい「打・走のバランス型」の好成績でした。
2026年は途中経過で打率.239・wOBA.296と苦戦し、打撃bsWARは0.3にとどまっています。本来は4〜5WAR級の数字を維持できる打者だけに、巻き返しが期待されます。
トレイ・ターナーの通算の打撃成績
トレイ・ターナーのMLB通算(2015〜2026年の12シーズン)の打撃成績を表にまとめます。通算333盗塁・打撃bsWAR 49.7という数字は、現役トップクラスの遊撃手であることを示します。
| 項目 | 通算 |
|---|---|
| 試合 | 1,404 |
| 打席 | 6,221 |
| 安打 | 1,667 |
| 二塁打 | 307 |
| 本塁打 | 203 |
| 打点 | 693 |
| 四球 | 423 |
| 三振 | 1,159 |
| 盗塁 | 333 |
| 打率 | .291 |
| 出塁率 | .343 |
| 長打率 | .468 |
| OPS | .812 |
| 通算打撃bsWAR | 49.9‡ |
| キャリアハイ打撃bsWAR | 9.0‡(2021年) |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。‡ 印の年(2015年以前)は守備データ(OAA)が存在しないため、守備はレンジファクター法(同じ守備位置のリーグ平均と比べたアウト関与数を得点に換算)による概算、走塁は 0 として算出しています。打球の難易度を見ていないぶん OAA より粗く、捕手の守備は 0 です。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年9月7日 5:16
| 受賞歴 | |
|---|---|
| 首位打者 | 1回(2021年NL) |
| オールスター選出 | 3回 |
特筆すべきは203HR-333SBという打力と走力の両立。現役の遊撃手で年間30盗塁級の足を持つ選手は非常に少なく、ターナーはその希少な存在です。2017〜2018年には2年連続で年間40盗塁超を記録し、MLB盗塁王争いの常連でもありました。
2022年にはドジャースで160試合フル出場・708PA・100打点を記録し、ナ・リーグMVP投票で5位に入賞。11年契約の満了時には通算2,000安打・300HR級も現実的な射程圏にある数字です。
WARへの批判的な見方
WARは優秀な総合指標ですが万能ではありません。守備評価の揺らぎ、出場機会への依存など、WARが抱える構造的な限界をトレイ・ターナーの実データを例に整理します。
- WARの限界
- 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARの限界
WARは「チームが勝つために必要な選手か」を数字で表現する試みですが、勝負所での勝負強さ(クラッチ性能)やポストシーズンでの活躍といった要素は反映されにくい部分があります。
ターナーの場合、ポストシーズン通算64試合・wRC+82とレギュラーシーズンほど数字が伸びていない事実があり、WAR単体で「大舞台での強さ」を測ることはできません。
「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARは出場機会に比例して累積するため、フルシーズンで試合に出続ける選手ほど通算値が膨らむ傾向があります。ターナーの通算WARには、2018年・2022〜2023年の160試合前後のフル出場が大きく寄与しています。
とはいえ、遊撃手で年間150試合以上出続けることは体力・技術とも高難度。WARはあくまで「総合評価の一つの軸」として使うのが適切です。
まとめWARから読み取れるトレイ・ターナーの価値【まとめ】
ここまでのトレイ・ターナーのWAR・通算成績・キャリアハイを踏まえて、2026年シーズンの見どころをまとめます。
トレイ・ターナーはMLB通算203HR・333盗塁・首位打者1回を誇る、現役トップクラスの遊撃手です。打力と走力のバランスに優れ、通算の打撃bsWARは49.7、シーズン最高は2025年の6.4です。
2023年からの11年契約のうち2026年は実質的な4年目(33歳)。長期契約のピークゾーンで、フィリーズのWS制覇を牽引する存在として、毎年コンスタントに4〜6WAR級を残せるかが見どころです。
なお、当ブログではジャクソン・メリルのWARや大谷翔平のWARについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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