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1998年、マーク・マグワイアとサミー・ソーサが繰り広げた「世紀のホームラン王争い」。そして2001年、バリー・ボンズが打ち立てた「シーズン73本塁打」という金字塔。当時のMLBは、まさに漫画のようなパワーヒッターたちが競演し、私たち日本の野球ファンも毎日のニュースにくぎ付けになりました。
しかし、皆様の中には、
- 結局、バッターとして凄かったのはどっちなのか?
- なぜこれだけの成績を残しながら、二人とも殿堂入りできないのか?
その背景には、驚異的な記録(スタッツ)の差と、MLB全体を揺るがした「ステロイド疑惑」という深い闇が存在します。
この記事では、セイバーメトリクスを用いてサミー・ソーサとバリー・ボンズの成績を徹底比較します。さらに薬物スキャンダル、そして殿堂入り論争の結末まで、記録にも記憶にも残る二人の怪物の「光と影」を、余すことなく紐解いていきましょう。
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Audibleを30日間無料で試す ※無料体験中に解約すれば料金はかかりませんMLB史に残るホームラン競争!ボンズとソーサの偉大な記録

1990年代後半から2000年代、MLBは空前の本塁打ブームに沸きました。その中心にいたのが、サミー・ソーサとバリー・ボンズという二人の怪物です。ファンの記憶に刻まれた偉大な記録と、その裏にあるドラマチックな明暗について、ここでは以下の3点を解説します。
- サミー・ソーサの史上唯一「3度の60本塁打」でも本塁打王になれなかった悲運
- バリー・ボンズのシーズン73発と通算762発、史上唯一の500-500
- どちらが上か?二人が同じ時代に生きた奇跡と直接対決
サミー・ソーサの史上唯一「3度の60本塁打」でも本塁打王になれなかった悲運
サミー・ソーサは、MLB史上唯一となる「キャリアで3度のシーズン60本塁打」を達成した右打ちのスラッガーです。しかし、ソーサにとって不運だったのは、マーク・マグワイアやバリー・ボンズというさらに上の怪物が同じ時代に存在した点でした。
1998年に66本、1999年に63本、2001年に64本を放ちながら、全ての年で本塁打王のタイトルを逃しています。特に1998年のマグワイアとの本塁打争いは、ソーサの明るいキャラクターも相まって世界中を熱狂させました。
タイトルには恵まれませんでしたが、コンスタントに60本台を記録したソーサの爆発力は、歴史上でも極めて稀な才能です。
バリー・ボンズのシーズン73発と通算762発、史上唯一の500-500
バリー・ボンズは、MLB歴代最多となる通算762本塁打、そして2001年に樹立したシーズン73本塁打というアンタッチャブルな記録保持者です。
左翼手としてプレーしたボンズの凄さは、パワーヒッターにとどまらない点にあります。ボンズは通算500本塁打だけでなく、通算500盗塁も同時に達成した史上唯一の「500-500」達成者だからです。
父ボビー・ボンズ譲りの俊足と、神懸かり的な打撃技術を兼ね備えたボンズは、走攻守すべてにおいて規格外の選手でした。シーズン73本塁打という数字は、今後破られる可能性が限りなく低い、メジャーリーグの頂点に君臨する大記録です。
どちらが上か?二人が同じ時代に生きた奇跡と直接対決
サミー・ソーサとバリー・ボンズ、どちらが優れた打者かという議論は尽きません。純粋な本塁打数やセイバーメトリクスの指標で見ればボンズに軍配が上がります。
しかし、ソーサには1998年から4年連続で138打点以上を記録した勝負強さがありました。右翼手としての強肩や、ファンを惹きつける陽気なパフォーマンスもソーサの魅力です。
一方のボンズは、圧倒的な出塁能力と長打力で相手投手を絶望させました。全く異なるタイプの二人が同じ時代に本塁打を量産した事実は奇跡的です。
以下の比較表で、二人の全盛期のスタッツを確認してみましょう。
| 項目 | バリー・ボンズ (2001年) |
サミー・ソーサ (2001年) |
|---|---|---|
| 本塁打 | 73 (歴代1位) | 64 |
| 打点 | 137 | 160 (リーグ1位) |
| 打率 | .328 | .328 |
| 出塁率 | .515 | .437 |
| OPS | 1.379 | 1.174 |
| 四球 | 177 | 116 |
こうしてデータで見るとスター選手と言えるバリー・ボンズとサミー・ソーサですが、実はデータ野球は同じ時期に二人のようなスター選手を獲れない貧乏球団の苦肉の策から始まりました。
「現在の華やかなデータ野球は、どこから始まったのか?」 その熱い歴史を知りたい方は、ノンフィクション映画『マネーボール』を見てみてください。
セイバーメトリクスで徹底比較!ボンズとソーサの「格差」とは
伝統的な打率や本塁打数だけでは見えない選手の実力を、セイバーメトリクスという分析手法で紐解いてみます。ここでは具体的に以下の3点を解説します。
- ボンズの1.422とソーサの1.000超えのOPSの異常値
- シーズン232四球のボンズと勝負されたソーサの比較
- 歴代1位級のボンズと守備・走塁に陰りがあったソーサのWAR
ボンズの1.422とソーサの1.000超えのOPSの異常値
OPSは出塁率と長打率を足した指標で、.900を超えればリーグを代表する強打者とされます。サミー・ソーサも全盛期にはOPS1.000超えを3度記録するなど素晴らしい数値を残しました。しかし、バリー・ボンズの記録は次元が違います。
ボンズは2004年にOPS1.422という驚異的なメジャー記録を叩き出しました。これは出塁率が6割を超えていたことに起因します。ソーサが良いシーズンでOPS1.000前後だったのに対し、ボンズは4年連続でOPS1.200を超えるなど、得点生産能力においてソーサを大きく引き離していました。
シーズン232四球のボンズと勝負されたソーサの比較
バリー・ボンズとサミー・ソーサの最大の違いは「投手から勝負されたかどうか」にあります。ボンズは2004年にシーズン232四球、そのうち敬遠が120個という異常な記録を残しました。投手がボンズとの対戦を徹底的に避けたという意味です。
対照的に、ソーサのシーズン最多四球は116個、最多敬遠は18個にとどまります。ソーサは積極的にバットを振るフリースウィンガーであり、三振も多いタイプでした。
投手がストライクゾーンで勝負できたソーサと、ストライクが入るだけでニュースになったボンズとでは、打席での支配力に明確な差がありました。
歴代1位級のボンズと守備・走塁に陰りがあったソーサのWAR
選手の総合的な貢献度を示すWARという指標でも、両者の差は歴然としています。バリー・ボンズの通算WARは162.8で、これは130年のMLBの歴史の中で歴代4位の数字です。ボンズは若い頃にゴールドグラブ賞を8度受賞するなど守備走塁でも貢献しました。
一方、サミー・ソーサの通算WARは58.6です。ソーサも30本塁打30盗塁を達成するなど身体能力は高かったものの、キャリア後半は守備指標が悪化し、WARの数値を伸ばせませんでした。セイバーメトリクスの観点では、ボンズは歴史的偉人、ソーサは優秀なスラッガーという評価に分かれます。
ホームラン数は近くても、WAR(総合貢献度)では3倍近い差がついた二人。その決定的な差は、ボンズが徹底して選んだ「四球(出塁率)」の価値にあります。
かつては「四球なんて地味だ」と言われていましたが、今では「ヒットと同等の価値がある」と評価されます。「なぜ野球の常識は変わったのか?」その「データ革命の裏側」を描いたノンフィクション作品『マネーボール』です。Audibleで聴く読書をすれば、なぜボンズの記録が(ホームラン以外も)異常なのかが、理論的に腹落ちするはずです。
通勤・通学中が「勉強時間」に変わる。10万作品以上のビジネス書やメジャーの歴史が、プロの朗読で聴き放題。
Audibleを30日間無料で試す ※無料体験中に解約すれば料金はかかりません栄光に差した影、ステロイド疑惑とスキャンダル
輝かしい記録の裏側には、常に黒い噂がつきまといました。MLB全体を揺るがしたステロイド疑惑と、それぞれの選手生命に泥を塗ったスキャンダルについて以下の3項目で解説します。
- サミー・ソーサの「コルクバット事件」と薬物疑惑リスト入り
- バリー・ボンズの「バルコ・スキャンダル」と急激な肉体変化
- 疑惑に対する本人たちの弁明と当時の周囲の反応
サミー・ソーサの「コルクバット事件」と薬物疑惑リスト入り
サミー・ソーサのキャリアに大きな傷をつけたのが、2003年に発生した「コルクバット事件」です。試合中に折れたバットから規定違反のコルクが見つかり、ソーサは退場処分を受けました。
ソーサは練習用を誤って使用したと弁明しましたが、打撃成績への疑念を招きました。さらに引退後の2009年、ニューヨーク・タイムズ紙が、2003年の薬物検査でソーサが陽性反応を示していたと報じました。ミッチェル報告書には名前がなかったものの、コルクバット事件と合わせた一連の疑惑により、ソーサのクリーンなイメージは崩壊することとなりました。
バリー・ボンズの「バルコ・スキャンダル」と急激な肉体変化
バリー・ボンズへの疑惑は、栄養補助食品会社バルコを中心とした組織的なドーピング問題「バルコ・スキャンダル」があります。1990年代後半からボンズの体格は急激に巨大化し、頭のサイズや足のサイズまで大きくなったと言われています。これはヒト成長ホルモンなどの使用による副作用の特徴と一致していました。
連邦大陪審での証言を巡り、ボンズは司法妨害罪で起訴される事態にまで発展しました。圧倒的なパフォーマンスの裏に薬物の存在があったとされる疑惑は、ボンズの偉大な記録に永遠に消えない影を落としています。
疑惑に対する本人たちの弁明と当時の周囲の反応
薬物疑惑に対し、バリー・ボンズは「禁止薬物とは知らずに使用した」と主張し続けました。一方、サミー・ソーサは2005年の議会証言で、英語が話せないふりをして核心的な証言を避けたと批判されました。
当時のMLBは本塁打ブームによる人気回復を優先し、検査体制が甘かったという背景もあります。しかし、ファンやメディアの反応は冷ややかで、特に敵地でのボンズに対するブーイングは凄まじく、注射器のプラカードが掲げられることも日常茶飯事でした。
ボンズとソーサ、二人の怪物の本塁打競争の裏に隠されたドーピング疑惑。その真相や歴史を語っている本が「ドーピングの歴史」です。Kindleなら今すぐ使っている端末から読めるので、ぜひチェックしてみてください。
いかにして始まり、なぜ終わらないのか。五輪のたびに繰り返される「薬物と人類の戦い」の全貌を、政治的背景から解き明かすドーピング研究の決定版。
Kindle版で今すぐ読む殿堂入り論争の結末
圧倒的な実績を残しながらも、二人は野球殿堂入りの栄誉を手にしていません。記者投票での厳しい現実と、デビッド・オルティス選出によるダブルスタンダードの議論、そして僅かに残されたベテランズ委員会選出の可能性について考察します。
- 記者投票での有資格喪失と得票率の大きな差
- デビッド・オルティス選出との矛盾
- 今後のベテランズ委員会による殿堂入りはあるか?
記者投票での有資格喪失と得票率の大きな差
アメリカ野球殿堂入りの記者投票において、バリー・ボンズとサミー・ソーサは2022年に有資格最終年を迎えましたが、共に落選しました。しかし、二人の得票率には大きな差がありました。
ボンズは最終的に66.0%まで支持を伸ばし、当選ラインの75%に迫りました。対照的に、ソーサの得票率は18.5%にとどまりました。これはソーサのセイバーメトリクス指標がボンズほど圧倒的ではなかった点や、コルクバット事件による心証の悪さが影響しています。
結果として、二人は記者投票による殿堂入りの道を閉ざされることになりました。
デビッド・オルティス選出との矛盾
殿堂入り論争で波紋を呼んだのが、デビッド・オルティス(オルティーズ)の選出です。オルティスも2003年の検査で陽性反応が出たと報じられましたが、2022年に一発で殿堂入りを果たしました。
ボンズやサミー・ソーサが排除された一方で、同じく疑惑のあったオルティスが許されたことに対し、多くのファンや関係者が矛盾を指摘しています。
オルティスの人柄や、薬物規定導入後の検査ではクリーンだった点が考慮されたと見られますが、ボンズらを支持する層にとっては納得のいかないダブルスタンダードな結果となりました。
今後のベテランズ委員会による殿堂入りはあるか?
記者投票での選出がなくなった今、バリー・ボンズとサミー・ソーサが殿堂入りする唯一の可能性は「ベテランズ委員会」による選出のみです。
ベテランズ委員会は、引退した選手や監督などで構成され、記者とは異なる視点で評価を行います。しかし、委員会メンバーの中にも薬物使用に対して厳しい態度を取る人物は多く、選出のハードルは依然として高いままです。
特にサミー・ソーサに関しては、セイバーメトリクスの評価も加味されるため、ボンズ以上に厳しい状況が続くと予想されます。
サミー・ソーサとバリー・ボンズの記録は異常【まとめ】
サミー・ソーサとバリー・ボンズが残した記録は、薬物疑惑があろうともMLBの歴史における特異点です。セイバーメトリクスで見たボンズの突出した実力や、ソーサの本塁打量産ペースは、今後現れることのない異常値と言えるでしょう。
今回紹介したボンズやソーサの打撃は、数字で見ても凄いですが、映像で見るとその「異常さ」がより分かります。
ボンズの場外弾や、ソーサの弾丸ライナー。当時の映像はYouTubeなどで見ることができますが、スマホの画面ではその迫力が半減してしまいます。
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