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メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。
WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。
皆様の中には、
- そもそもWARって何?
- フランシスコ・リンドーアのWARを知りたい!
- リンドーアって正直どれくらい活躍してるの?
という疑問を抱えている方はいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、WARの定義やfWARとrWARの違い、メリットと限界を整理したうえでフランシスコ・リンドーアのシーズン別・通算成績を具体的に解説します。
またこの記事で紹介するWARといった「野球の評価基準」をもっと深く知りたい方にとって、データ野球の原点を描いたノンフィクション小説『マネーボール』は、まさに必読のバイブルです。「データ重視の改革派vsスカウトの目重視の従来派」の確執まで詳細に描かれており、野球の見方が根本から変わる一冊です。
WARとは何か?何を評価する指標か

WARは選手の総合的な貢献度を示す重要な評価指標です。ここでは以下の順に解説します。
- セイバーメトリクスとWARの関係性
- WAR(Wins Above Replacement)の定義と計算
- fWARとrWARの違い
- WARのメリット
セイバーメトリクスとWARの関係性
WARを正しく理解するには、まず「セイバーメトリクス」という言葉を知っておく必要があります。
セイバーメトリクスとは、野球を「勘や経験」ではなく「客観的なデータ(統計学)」で分析する手法のことです。
セイバーメトリクスによって「OPS」など様々な指標が生まれましたが、その中で「野手や投手を問わずに、選手の総合力をたった1つの数字で表そう」として作られた指標こそが、これから解説するWARです。
WAR(Wins Above Replacement)の定義
WARとは「Wins Above Replacement」の略称です。代替選手、つまり控えレベルの選手と比べてどれだけ勝利数を増やしたかを示します。
打撃、走塁、守備、投球などすべての要素を数値化し、統合して算出します。一般的に代替レベルのチームは勝率が約.320とされ、162試合で52勝程度しかできません。
基準と比較し、WARは選手がどれだけ勝利に貢献したかを数値化。打率や本塁打のように一側面だけではなく、総合的に選手の価値を評価できる点が特徴です。
fWARとrWARの違い
WARには主にfWARとrWARの二種類があります。
fWARは野手の守備をUZRで評価し、投手はFIPをベースに算出する方法です。fWARは守備の影響を取り除けるため、理論的に投手の純粋な力を測れる指標です。
一方、rWARはBaseball Referenceで用いられる算出方法です。守備はDRSを使用し、投手は実際の失点ベースで評価する点が異なります。rWARは実際の試合結果に基づいた評価で、現実に近い数字を出すと言えます。
WARのメリット
WARの最大のメリットは1つの数値で総合的な価値を比較できる点です。野手と投手を同じ基準で評価できるため、MVP投票や殿堂入り議論で活用されます。
また、WARは契約交渉や年俸評価でも重要な基準とされています。近年では「1WARは数百万ドルの価値」とも言われています。
ここまでWARの定義などの難しい話をしましたが「専門用語ばかりでイメージしにくい…」と感じた方もいるかもしれません。
実は、セイバーメトリクスを理解するのに、いきなり数式を覚える必要はありません。まずはデータ野球の原点で、メジャーリーグを舞台にしたノンフィクション作品『マネーボール』に触れてみるのがおすすめです。
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フランシスコ・リンドーアは調子の波がありますが、MVP級の活躍を続け、キャリアハイのシーズンを含め通算成績でも素晴らしい記録を残しています。ここでは以下の順に解説します。
- フランシスコ・リンドーアの年度別のWAR
- フランシスコ・リンドーアの通算の打撃成績
フランシスコ・リンドーアの年度別のWAR
| 年 | fWAR | rWAR |
|---|---|---|
| 2015 | 4.0 | 4.1 |
| 2016 | 5.2 | 5.2 |
| 2017 | 5.8 | 5.7 |
| 2018 | 7.8 | 7.3 |
| 2019 | 6.1 | 4.8 |
| 2020 | 1.8 | 1.3 |
| 2021 | 3.9 | 3.0 |
| 2022 | 6.4 | 5.4 |
| 2023 | 5.5 | 6.1 |
| 2024 | 7.7 | 6.9 |
| 2025 | 6.3 | 5.8 |
| 通算 | 60.5 | 55.6 |
リンドーアの年度別WARでは、2018年のfWAR7.8とrWAR7.3がキャリアハイです。また、2024年もfWAR7.7、rWAR6.9と並ぶ水準を記録。数字で見ると、2018年と2024年が突出したと分かります。
2020年はfWAR1.8、rWAR1.3と大きく落ち込みましたが、コロナ禍による短縮シーズンで試合数が少なかったためです。
2021年はfWAR3.9、rWAR3.0でしたが、2022年はfWAR6.4、rWAR5.4と再び高水準に。
通算ではfWAR60.5、rWAR55.6と、殿堂級の射程圏に入ります。キャリアハイを基点に推移を眺めると、成長と復活の流れが見えます。
通算WARは50.0以上であり、日本人のレジェンドであるイチローの60.0をもう少しで超えるほどの記録をリンドーアは31歳で残しています。
ここまで紹介したWARといった指標は、試合中に「今のプレーでどれくらいWARを稼いだのだろう?」と手元のデータと照らし合わせると観戦の深みが変わります。ただ、スマホでは画面が手狭です。
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フランシスコ・リンドーアの通算の打撃成績
フランシスコ・リンドーアの通算の打撃成績は以下の通りです。
| 指標 | 通算成績 |
|---|---|
| 打率 | 0.267 |
| 出塁率 | 0.346 |
| 長打率 | 0.466 |
| OPS | .811 |
| 本塁打数 | 279 |
| 盗塁数 | 216 |
| ヒット数 | 1664 |
| 打点 | 856 |
キャリアハイは2018年の38本塁打、129得点、wRC+133でした。また2024年には33本塁打、OPS.844、wRC+141を記録。二度のキャリアハイ級シーズンでニューヨーク・メッツを牽引しました。
通算では本塁打279本、打点847、安打1664本を積み重ね、盗塁も216。打率.267は安定感を示し、出塁率.346、長打率.466と安定感もあります。
OPS.811は平均を大きく上回ります。キャリアハイの打撃指標を踏まえると、すでに殿堂入りレベルの成績を残していると言えるでしょう。
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WARへの批判的な見方
WARは総合的な評価指標として広く利用されていますが、決して万能ではありません。fWARやrWARの算出方法には違いがあり、同じ選手でも数値が異なることから「どちらを信じるべきか」と疑問を持つ声も多い事実があります。ここでは以下の順でWARへの批判や限界を整理します。
- WARの限界
- 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARの限界
WARは便利な指標ですが、限界も明確で、まずfWARとrWARで守備評価の基準が異なるため、選手の数値が一致しません。
UZRを使うfWARと、DRSを用いるrWARでは同じプレーを評価しても結果が変わります。また、投手の評価方法にも違いがあり、FIPを採用するfWARと実際の失点を考慮するrWARでは数値に差が出ます。
さらに、WARは環境要因やチーム状況を完全に反映できません。球場の広さや守備陣のレベルが選手の数値に影響するため、単純に比較することには限界があると言えるでしょう。
「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARは積算型の指標なので、出場機会が多いほど数値が増えやすい特徴があります。そのため「レギュラーで出続ける選手はWARが高くなるが、本当に実力差を反映しているのか」という批判もあります。
例えば、シーズンを通して安定して出場する選手は、突出した打撃成績がなくてもWARを積み上げることが可能です。そのため「見かけ倒し」と捉えられることがあります。
さらに、短期間で圧倒的な成績を残す選手よりも、平均的な活躍を続けた選手が高く評価されるケースもあります。
こうした点から、WARは選手評価の一助にはなるものの、万能な指標ではなく、OPSや防御率など他のデータと併用してこそ、正確な選手の評価につながると言えるでしょう。
リアルタイムでフランシスコ・リンドーアを応援しよう【まとめ】
フランシスコ・リンドーアは、WARを見ても常にトップクラスの遊撃手です。
2018年のfWAR7.8、rWAR7.3や2024年のfWAR7.7、rWAR6.9はキャリアハイで、攻守走すべてにおいて貢献。
通算でもfWAR60.5、rWAR55.6と殿堂入り級の水準に到達しており、安定感と継続性が際立ちます。
打撃でも2018年の38本塁打や2024年のOPS.844とキャリアハイ級の数字を記録し、通算では本塁打279本、打点847、安打1664本、盗塁も216、打率.267、出塁率.346、長打率.466を記録しています。
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