メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。
WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。
皆様の中には、
- そもそもWARって何?
- カル・ローリーのWARを知りたい!
- カル・ローリーとアーロン・ジャッジはどっちが2025年のMVPを獲得しそう?
という疑問を抱えている方はいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、WARの定義や当サイトのbsWARについて、メリットと限界を整理したうえでカル・ローリーのシーズン別・通算成績、さらにアーロン・ジャッジとのMVP争いについて具体的に解説します。
WARとは何か?何を評価する指標か

WARは選手の総合的な貢献度を示す重要な評価指標です。ここでは以下の順に解説します。
- セイバーメトリクスとWARの関係性
- WAR(Wins Above Replacement)の定義
- 当サイトのbsWARについて
- WARのメリット
セイバーメトリクスとWARの関係性
WARを正しく理解するには、まず「セイバーメトリクス」という言葉を知っておく必要があります。
セイバーメトリクスとは、野球を「勘や経験」ではなく「客観的なデータ(統計学)」で分析する手法のことです。
セイバーメトリクスによって「OPS」など様々な指標が生まれましたが、その中で「野手や投手を問わずに、選手の総合力をたった1つの数字で表そう」として作られた指標こそが、これから解説するWARです。
WAR(Wins Above Replacement)の定義
WARとは「Wins Above Replacement」の略称です。代替選手、つまり控えレベルの選手と比べてどれだけ勝利数を増やしたかを示します。
打撃、走塁、守備、投球などすべての要素を数値化し、統合して算出します。一般的に代替レベルのチームは勝率が約.320とされ、162試合で52勝程度しかできません。
基準と比較し、WARは選手がどれだけ勝利に貢献したかを数値化。打率や本塁打のように一側面だけではなく、総合的に選手の価値を評価できる点が特徴です。
当サイトのbsWARについて
WARには「これが公式」という単一の計算式がなく、算出する側の定義によって数値が変わります。当サイトでは、他サイトの数値を転載するのではなく、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて独自に算出した bsWAR を掲載しています。守備の材料にはMLB公式のOAAを用いています。計算式と検算の結果は算出方法の記事にまとめています。
WARのメリット
WARの最大のメリットは1つの数値で総合的な価値を比較できる点です。野手と投手を同じ基準で評価できるため、MVP投票や殿堂入り議論で活用されます。
また、WARは契約交渉や年俸評価でも重要な基準とされています。近年では「1WARは数百万ドルの価値」とも言われています。
カル・ローリーの年度別・通算の成績

カル・ローリーのWARや打撃成績は、毎年高水準を維持しており通算成績も突出しています。ここでは以下の順で解説します。
- カル・ローリーの年度別のWAR
- カル・ローリーとアーロン・ジャッジの比較
カル・ローリーの年度別のWAR
カル・ローリーの年度別のWARは以下の表の通りです。
| 年度 | 年齢 | チーム | 打席 | wOBA | wRAA | 打撃bsWAR | 本塁打 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 25 | SEA | 148 | .233 | -12.6 | -0.2 | 2 | .180 |
| 2022 | 26 | SEA | 415 | .332 | 8.6 | 4.4 | 27 | .211 |
| 2023 | 27 | SEA | 569 | .329 | 5.3 | 4.1 | 30 | .232 |
| 2024 | 28 | SEA | 628 | .325 | 8.2 | 5.7 | 34 | .220 |
| 2025 | 29 | SEA | 705 | .397 | 57.6 | 10.0 | 60 | .247 |
| 2026今季 | — | SEA | 507 | .301 | -8.9 | 1.5 | 23 | .182 |
網掛けの指標(FIP・wOBA・wRAA・bsWAR)は、公開されている計数値からリーグ定数・パークファクターを含めて当サイトが独自に算出したものです。参考列は取得元の計数値そのものです。bsWAR は当サイト独自の WAR で、FanGraphs の fWAR・Baseball Reference の bWAR とは計算方法が異なります。出典:MLB Stats API(MLB Advanced Media, L.P.)/ Baseball Savant / NPB 公式サイト。 最終更新:2026年9月22日 5:17
2026年のカル・ローリーは 507打席で wOBA .301。リーグ平均 .319 を .018 ポイント下回っている。打撃だけで見ると、リーグ平均の打者が同じ打席数に立った場合と比べて 8.9点少なく生み出した計算になる(wRAA -8.9)。wOBAのキャリアハイは2025年の .397(705打席)で、今季との差は .095 ポイント。通算本塁打 176本、300本まであと 124本。通算安打 568本、1,500本まであと 932本。
この評価は当サイトが取得した計数値から自動生成しています。最終更新:2026-09-22 05:17:24
カル・ローリーの打撃bsWARは年々安定して上昇しています。特に2025年は 10.0 を記録し、キャッチャーとしては異例の高水準です。2026年は途中経過で 1.0 と苦しんでいます。
キャッチャーは守備的な役割が重く評価されにくいですが、ローリーは攻守で高い数値を残しており、チームの中心選手といえます。
カル・ローリーとアーロン・ジャッジの成績比較
カル・ローリーとアーロン・ジャッジの打撃成績の比較は以下の通りです。
| 選手 | WAR | 打率 | 本塁打 | OPS | OPS+ |
|---|---|---|---|---|---|
| カル・ ローリー | 7.3 | 0.247 | 60 | 0.948 | 169 |
| アーロン・ ジャッジ | 9.7 | 0.294 | 53 | 1.144 | 215 |
ローリーはキャッチャーとして史上初めて60本塁打を達成し、打撃面で歴史的な快挙を成し遂げました。一方のジャッジは打率.294、53本塁打、OPS1.144と例年通り圧倒的な記録を残しています。
数値面ではジャッジに分がありますが、捕手という守備負担の大きいポジションでローリーがこれほどの成績を残した意義は大きいです。
マリナーズは地区優勝してポストシーズン進出を果たしたため、ローリーがMVPを受賞する可能性は十分にあります。ジャッジとの比較で、ア・リーグのMVPは例年以上に予測が難しいのが正直なところです。
WARへの批判的な見方
WARは総合的な評価指標として広く利用されていますが、決して万能ではありません。WARには算出元ごとに複数の流儀があり、同じ選手でも数値が異なることから「どれを信じるべきか」と疑問を持つ声も多い事実があります。ここでは以下の順でWARへの批判や限界を整理します。
- WARの限界
- 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARの限界
WARは便利な指標ですが、限界も明確で、算出元によって守備評価の基準が異なるため、同じ選手でも数値が一致しません。
守備をUZRで測るかDRSで測るか(当サイトのbsWARはMLB公式のOAA)で、同じプレーの評価は変わります。また、投手をFIPで評価するか実際の失点で評価するかでも数値に差が出ます(bsWARはFIPベース)。
さらに、WARは環境要因やチーム状況を完全に反映できません。球場の広さや守備陣のレベルが選手の数値に影響するため、単純に比較することには限界があると言えるでしょう。
「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判
WARは積算型の指標なので、出場機会が多いほど数値が増えやすい特徴があります。そのため「レギュラーで出続ける選手はWARが高くなるが、本当に実力差を反映しているのか」という批判もあります。
例えば、シーズンを通して安定して出場する選手は、突出した打撃成績がなくてもWARを積み上げることが可能です。そのため「見かけ倒し」と捉えられることがあります。
さらに、短期間で圧倒的な成績を残す選手よりも、平均的な活躍を続けた選手が高く評価されるケースもあります。
こうした点から、WARは選手評価の一助にはなるものの、万能な指標ではなく、OPSや防御率など他のデータと併用してこそ、正確な選手の評価につながると言えるでしょう。
まとめWARから読み取れるカル・ローリーの価値【まとめ】
カル・ローリーは2025年、キャッチャーとして史上初の60本塁打を達成し、打撃bsWAR 10.0 という高水準を記録しました。
一方、アーロン・ジャッジも打率.294、53本塁打と例年通り圧倒的な成績を残しています。
数値ではジャッジが優勢ですが、捕手という守備負担の大きなポジションで快挙を成し遂げたローリーの価値も計り知れません。MVPの行方は投票当日までは予測困難です。
