【通算WAR】松井秀喜のWARはどれくらいか?年度別や通算成績のキャリアハイ、出塁率、OPSも紹介

【通算WAR】松井秀喜のWARはどれくらいか?年度別や通算成績のキャリアハイ、出塁率、OPSも紹介 WAR

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メジャーリーグを語るうえで欠かせない指標のひとつが「WAR(Wins Above Replacement)」です。

WARは、ある選手が「控え選手と比べて何勝多くチームにもたらしたか」を数値化した総合評価で、打撃・守備・走塁すべてを含めて比較できる点が大きな特徴です。

皆様の中には、

  • そもそもWARって何?
  • 松井秀喜のWARを知りたい!
  • 松井秀喜って正直どれくらい活躍したの?

という疑問を抱えている方はいらっしゃるはず。

そこでこの記事では、WARの定義やfWARとrWARの違い、メリットと限界を整理したうえで、松井秀喜のシーズン別・通算成績を具体的に解説します。

この記事で紹介するセイバーメトリクスがMLBの「常識」になったのかを歴史と実例で語れる人は多くありません。私が入門書として読んだのが、実話をもとに書かれた「マネーボール」です。「マネーボール」はAudibleで音声でも聴けるのでぜひ次の画像をタップしてみてください。

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セイバーメトリクスの概要

セイバーメトリクスは、野球の成績を統計学的に分析し、選手の真の価値を数値で可視化する手法です。従来の常識を覆し、OPSなど新たな評価指標を生み出しました。

  • セイバーメトリクスと歴史
  • セイバーメトリクスの指標
  • セイバーメトリクスを普及させた実話「マネーボール」

セイバーメトリクスと歴史

セイバーメトリクスは、1970年代にアメリカの野球史研究家ビル・ジェームズによって提唱されました。名称は「Society for American Baseball Research(SABR)」と「metrics(測定)」を組み合わせた造語です。

当時は、打率や打点が選手の価値を決める主な指標でしたが、ジェームズは「出塁することこそが得点につながる」と主張し、出塁率や長打率を重視する分析を導入しました。1977年に発表した「Baseball Abstract」シリーズは、従来の野球観に一石を投じました。

ジェームズの研究は、バントや盗塁が必ずしも得点に結びつかないことを統計的に示し、戦術の再考を促しました。例えば、あるチームが送りバントを20回試みた場合、得点効率は約10%低下するといったデータが発表されています。

ジェームズの考え方は当初こそ批判を受けましたが、後に多くの球団が彼の分析を参考にし、現代野球の根幹を成す理論となりました。数字によって感覚や経験に頼らない戦略を生み出した点で、セイバーメトリクスは野球を「データのスポーツ」へと進化させたと言えるでしょう。

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セイバーメトリクスの指標

セイバーメトリクスでは、選手の貢献度をより正確に表すために多くの得点との相関がある指標が考案されています。

相関を表す相関係数とは、2つの数値データの関係の強さと方向を表す指標です。相関係数は-1.00から+1.00の範囲で示され、+1.00に近いほど強い正の関係を意味します。

セイバーメトリクスで代表的なものがOPS(出塁率+長打率)です。OPSは得点との相関が非常に高く、NPBでは2008〜2017年の10年間で相関係数0.92という高い一致率を示しています。

出塁率(OBP)は「(安打+四球+死球) ÷ (打数+四球+死球+犠飛)」で計算され、長打率(SLG)は「塁打数 ÷ 打数」で求められます。出塁率(OBP)と長打率(SLG)を足したOPSは、計算が単純でありながらも選手の得点能力を評価できる重要な指標です。

また、OPSをリーグ平均100として指数化したOPS+は、異なる時代や球場間でも比較できる便利な数値です。OPS+が150なら、平均的な打者よりも50%高い得点力を持つことを意味します。

その他にも、出塁率を重視したwOBA(加重出塁率)や、打撃・守備・走塁を統合的に評価するWAR(Wins Above Replacement)などが存在します。

セイバーメトリクスの指標によって、従来評価されにくかった「出塁率などの地味な貢献」も数値化され、例えば打率は低いけれど出塁率が高いカイル・シュワーバーなどの選手が正当に評価され出しています。

ここまでWARやセイバーメトリクスを解説してきましたが、
「結局、セイバーメトリクスってどう広まったの?」
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セイバーメトリクスを普及させた実話「マネーボール」

上の動画は実話をもとに公開された映画「マネーボール」の魅力が詰まっている予告編です。

セイバーメトリクスが広く知られるようになったきっかけが、2000年代初頭のオークランド・アスレチックスによる「マネーボール革命」です。

年俸総額が30球団中28位と資金力の乏しいアスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンは、年俸の高いスター選手を獲得できない状況下で、セイバーメトリクスを用いた戦略に活路を見出しました。

ビリー・ビーンは出塁率やOPSやWARなどセイバーメトリクスの指標が良いにもかかわらず、見た目や評価の低さから市場価値が安い選手を集め、チームを再建。

2002年シーズンには、当時アメリカンリーグ新記録の20連勝を達成し、さらにシーズン103勝を挙げて地区優勝に導きました。

この実話をもとに2011年に公開された映画「マネーボール」は、ブラッド・ピット主演で大ヒットを記録し、セイバーメトリクスの有効性を世に知らしめました。

劇中では「選手を顔やフォームではなく数字で見ろ」というセリフが印象的に語られています。アスレチックスの成功は、その後のMLB各球団の編成方針を変え、データ分析専門部署の設立を促しました。

現在では、セイバーメトリクスの考え方がスカウティングや契約交渉にも浸透しており、野球界に与えた「マネーボール」の影響は凄まじいものがあります。

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WARとは何か?何を評価する指標か

WARは選手の総合的な貢献度を示す重要な評価指標です。ここでは以下の順に解説します。

  • WAR(Wins Above Replacement)の定義と計算
  • fWARとrWARの違い
  • WARのメリット

WAR(Wins Above Replacement)の定義

WARとは「Wins Above Replacement」の略称です。代替選手、つまり控えレベルの選手と比べてどれだけ勝利数を増やしたかを示します。

打撃、走塁、守備、投球などすべての要素を数値化し、統合して算出します。一般的に代替レベルのチームは勝率が約.320とされ、162試合で52勝程度しかできません。

基準と比較し、WARは選手がどれだけ勝利に貢献したかを数値化。打率や本塁打のように一側面だけではなく、総合的に選手の価値を評価できる点が特徴です。

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fWARとrWARの違い

WARには主にfWARとrWARの二種類があります。

fWARは野手の守備をUZRで評価し、投手はFIPをベースに算出する方法です。fWARは守備の影響を取り除けるため、理論的に投手の純粋な力を測れる指標です。

一方、rWARはBaseball Referenceで用いられる算出方法です。守備はDRSを使用し、投手は実際の失点ベースで評価する点が異なります。rWARは実際の試合結果に基づいた評価で、現実に近い数字を出すと言えます。

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WARのメリット

WARの最大のメリットは1つの数値で総合的な価値を比較できる点です。野手と投手を同じ基準で評価できるため、MVP投票や殿堂入り議論で活用されます。

また、WARは契約交渉や年俸評価でも重要な基準とされています。近年では「1WARは数百万ドルの価値」とも言われています。

ここまでWARやセイバーメトリクスを見てきましたが、実はWARの起源は20年以上前にあります。
2002年、MLBアスレチックスは年俸総額30球団中28位という“貧乏球団”でした。ところがセイバーメトリクスを導入した結果、103勝・リーグ記録の20連勝を達成します。
この実話を描いたブラッド・ピット主演映画『マネーボール』は、データが野球を変えたことがわかる名作です。
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WARへの批判的な見方

WARは総合的な評価指標として広く利用されていますが、決して万能ではありません。fWARrWARの算出方法には違いがあり、同じ選手でも数値が異なることから「どちらを信じるべきか」と疑問を持つ声も多い事実があります。ここでは以下の順でWARへの批判や限界を整理します。

  • WARの限界
  • 「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判

WARの限界

WARは便利な指標ですが、限界も明確で、まずfWARとrWARで守備評価の基準が異なるため、選手の数値が一致しません。

UZRを使うfWARと、DRSを用いるrWARでは同じプレーを評価しても結果が変わります。また、投手の評価方法にも違いがあり、FIPを採用するfWARと実際の失点を考慮するrWARでは数値に差が出ます。

さらに、WARは環境要因やチーム状況を完全に反映できません。球場の広さや守備陣のレベルが選手の数値に影響するため、単純に比較することには限界があると言えるでしょう。

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「WARは出場機会で増える」「見かけ倒しでは?」との批判

WARは積算型の指標なので、出場機会が多いほど数値が増えやすい特徴があります。そのため「レギュラーで出続ける選手はWARが高くなるが、本当に実力差を反映しているのか」という批判もあります。

例えば、シーズンを通して安定して出場する選手は、突出した打撃成績がなくてもWARを積み上げることが可能です。そのため「見かけ倒し」と捉えられることがあります。

さらに、短期間で圧倒的な成績を残す選手よりも、平均的な活躍を続けた選手が高く評価されるケースもあります。

こうした点から、WARは選手評価の一助にはなるものの、万能な指標ではなく、OPSや防御率など他のデータと併用してこそ、正確な選手の評価につながると言えるでしょう。

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松井秀喜のシーズン別・通算の成績

フェンウェイ・パーク

松井秀喜のシーズン別・通算の成績としてここでは以下の2点を解説します。

  • 松井秀喜のシーズン別のWAR
  • 松井秀喜の通算の打撃成績

松井秀喜のシーズン別のWAR

松井秀喜のシーズン別のfWARとrWARの比較表をまとめてみました。

シーズンチームfWARrWAR
2003NYY0.22.3
2004NYY3.05.0
2005NYY2.54.5
2006NYY0.70.8
2007NYY2.94.1
2008NYY0.81.1
2009NYY2.42.7
2010LAA1.51.7
2011OAK0.20.5
2012TBR-1.0-1.3
通算13.221.2

松井秀喜は表だと分かりづらいため、グラフにしたのが以下の画像です。

松井秀喜のFanGraphs(fWAR)とBaseball Reference(rWAR)の数値は大きく異なります。

守備指標としてUZRを使うfWARと、DRSを用いるrWARでは同じプレーを評価しても結果が変わります。

守備評価の算出方法に差があるためで、松井秀喜の「打撃はプラス、守備はマイナス」との特徴が数値化したと言えます。それでもグラフのrWARとfWARの曲線は同じように描かれているため、WARの傾向としては同じと言えるでしょう。

WARキャリアハイは2004年で、fWARでは3.0rWARでは5.0を記録。打率.298・31本塁打・108打点と中軸打者として圧倒的な存在感を示したシーズンでした。

2005年や2007年も同様に高い水準を維持していますが、どの年もfWARとrWARに1~2勝程度の差が生じています。

通算で見ると、fWARは13.2に対し、rWARは21.2と大きな開きがありました。

つまり、FanGraphsの評価では「主力級だが控えめな数値」、Baseball Referenceでは「打撃面の貢献を強く評価」となりました。

ここまでWARやセイバーメトリクスを解説してきましたが、
「松井秀喜は何が具体的に凄いの?」
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松井秀喜の通算の打撃成績

松井秀喜の通算の打撃成績を以下の表にまとめました。

項目通算成績
試合数1,236試合
打席数5,066打席
打数4,442打数
安打1,253安打
本塁打175本塁打
打点760打点
盗塁13盗塁
四球547四球
三振689三振
打率0.282
出塁率(OBP)0.36
長打率(SLG)0.462
OPS0.822
OPS+118

松井秀喜のメジャー通算打撃成績は、10年間で打率.282、出塁率.360、長打率.462、OPS.822という安定した数字を残しました。

OPS+は118で「平均的打者より18%優れた成績」を意味します。特にヤンキース時代は打率.292、OPS.852と高水準で、毎年20本前後の本塁打を放つ中距離打者として活躍。クリーンナップと銀河系軍団の一人として活躍しました。

打点760は日本人打者としてもトップクラスで、通算本塁打175本は大谷翔平に抜かれるまで、日本人メジャーリーガーで最多の本塁打記録でした。

出塁率の高さから得点圏での勝負強さも松井秀喜の魅力。一方で、守備はUZRやDRSで低評価を受け、WARにマイナス補正がかかっています。

ただし、2009年ワールドシリーズMVPの活躍を含め、日本人として屈指のクラッチヒッターであったと言えるでしょう。

松井秀喜は「平均以上の打撃力を持ち、勝負強さで印象を残した打者」と言えます。

ここまで松井秀喜のWARやセイバーメトリクスを見てきましたが、実はWARの起源は20年以上前にあります。
松井秀喜も1年間だけ所属したアスレチックスは2002年に年俸総額30球団中28位という“貧乏球団”でした。ところがセイバーメトリクスを導入した結果、103勝・リーグ記録の20連勝を達成します。
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レジェンド松井秀喜が活躍したMLBを楽しもう【まとめ】

松井秀喜はMLB10年間で打率.282・OPS.822・175本塁打・760打点を記録し、クラッチヒッターとして活躍しました。

WARではfWAR13.2、rWAR21.2と評価に差がありますが、キャリアハイ2004年にはrWAR5.0をマークし、打撃力と勝負強さでヤンキースの中心選手として活躍。

守備のマイナス評価が影響しても、今なお高く評価されるのは、2009年WS MVPに象徴されるように「ここ一番でのクラッチぶり」でした。松井秀喜は日本人MLBプレーヤーのレジェンドと言えるでしょう。

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なお、当ブログではイチローのWAR大谷翔平のWARについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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